【御殿屋台の引き回し】浜松まつりの屋台の値段とMyラッパに驚く!
浜松祭りで「引き回し」という言葉を聞いたとき、遠山の金さんの
「市中引き回しの上、磔獄門!!」
という決めぜりふを思い出しました。
浜松祭りでも、たしかに市中「引き回す」のです。御殿屋台というものを。
しかし、異邦人には屋台と御殿の語感がどうも結びつきません。
屋台というと、ラーメン屋さんの、あの屋台でしょう?
御殿って、美しく、立派な建物でしょう?
しかも、それを引き回す・・・。
実際に見てみました!
確かに、トラックの荷台ほどの大きさと高さの屋台に、「御殿」が載っかってます!
なんというか、スゴイ絵づらです・・・!
大型の、ちょっと間延びした御神輿というか、トラックの上にそのまま神社が載っかっているような感じです・・・。
これを夜になると、沢山の人たちが引っ張って、市内を練り歩くんです。
↓↓
しかも、この屋台、無人じゃなくて、人が乗ってます。
10人くらいの女の子たちが祭りの盛装でばっちり決めて、笛や三味線、鉦太鼓を叩いて、大小の提灯をぶらさげて、ちょっぴり無粋なことに、蛍光灯も煌々とつけて、これでもか!!とばかりに光り輝きながら、夜の街をやってくるのです。
屋台の来るルートはあらかじめわかります。屋台が近づいてくると、みんな家の前に出て見物します。
屋台の屋根には、おじさんが2人くらい乗っています。
何をやってるのかなと思っていたら、屋根に引っかかってくる電線を除けるためにいるんだそうです。(!!ただの祭りのノリじゃなかったのね・・・。)
電線にひっかかるほど高くしなきゃいいのにと思いましたが、高い方がやっぱり見栄えがしますもんね~。
なんか、近くに寄っていくと、ぶ~~ん、という機械の音と、油の匂いもします。
提灯や蛍光灯のために発電機をつけているそうです。
この屋台、みんな町に一台持っていて、美しさを競い合っているんです~~!
あと、古さも大切な要素です。古いほど格式もあるようです。
今造ると、2億はかかる屋台を(2億!?!)この祭りに参加したいばっかりに造る町もあるそうです。(2億ものお金をどうやって捻出するのか、考えるだけでもコワイ)
そういえば、発電機のスイッチを切り忘れて、屋台の半分が燃えちゃった町もあるそうです。
(お、恐ろしい!!半分・・・。2億の半分・・・。・・・)
でも2億かけなくても屋台を造ったってかまわないそうです。
ある町では、地元の大工さんたちが集まって、手作りで屋台を何百万かで造ったそうです。
私は逆に、その屋台をちょっと見てみたい気がします。
どこの町なんだろう・・・・。今度探してみようかな・・・。
屋台があるということは、それをしまっておく場所もあるということ。
各町に、御殿屋台の格納庫があります。
異邦人たる私は、それをいちいち見つけるたびに、「おお!」とか思います。
昔アニメにあった、ロボットの格納庫を発見したような気持ちになります。
祭り以外には何の役にもたたないけど、豪華できらびやかな御殿屋台が、暗い格納庫の中で、一年中じっと出番を待ってるんですね・・・。
舞う・・・?
毎年4月を過ぎると、至る所からラッパの練習の生の音が聞こえ、スーパーではビールやお菓子やおつまみを山積みにして、エンドレスで進軍ラッパを流し続けます。
あの浜松祭りの進軍ラッパは、ついつい、いらないものまで買ってしまいそうなイキオイがあります。
町々の公会堂では夜遅くまで電気が灯り、おじさまたちがなにやら集まって打ち合わせをしています。
公民館などにも普通に法被を着た衆らが出入りしています。
半年くらい前から、祭りに関わっている人々は土日返上で祭りの準備に没頭しています。
こういう方たちの頭の中は常に祭りで一杯らしいのですが、私のような一般ピープルも
「ああ、祭りだ」
という感じがしてくるのがこの4月ころなのです。
日曜日に外出すると、法被の集団が凧を囲んで集まっているのを目にしたり、格納庫に仕舞ってあった屋台を引き出してメンテナンスをしているのを見かけたりして、ああ、迫ってきたな~・・・という感じがするのです。
新聞の広告にも、祭りに向けたものがどんどん入ってきます。
初子の練りをする家は、「練り」にきてくれる衆への仕出しをどうするかも決めなければなりません。
今手元にある広告には、たくさんの仕出しの写真に、
「やらまいかが舞う。」
などという意味不明なコピーのチラシが・・・・。
このお店、地元では超有名な高級料理店。
仕出しの料理には、高級っぽい「至高のお造り盛り合わせ」36000円なんかも載っていてすごく美味しそう。
でもコピーはほとんど意味不明・・・。
でも、よく考えてみると、浜松祭りは凧祭り。
凧が舞う、ならなんとなくわかりますよね。
浜松人は、きっとこれでわかるんだ・・・きっと。
もう、4月も20日が過ぎましたから、秒読みですね。
しかし、町中がそわそわしているというのに、私はここのところ苦しんできた内職がやっと終わり、その上また用事ができたところです・・・!
ううう・・・。
Myラッパ
浜松祭りでは、「練り」でも「引き回し」でもラッパは欠かせません。
「練り」の時、みんなラッパを吹いたり太鼓を叩いたりして、集団で固まって小走りに移動します。
元気のいい独特の響きの進軍ラッパです。
このラッパをちゃんと吹けるように、浜松市民は小学生の頃から町単位で集まって祭りのために練習しています。
夜、浜松の町を散歩すると、いろんなところから、このラッパの節を練習する音が聞こえます。
すっごく祭りが近づいた感じがします。
祭りが近づくと日曜日なんてありません。
さすが浜松、幼い頃から、祭り精神をたたき込まれるのです・・・!
そして、さる楽器売り場に、こんなコーナーが・・・。
「これって、これって、祭りのためのラッパだよね??浜松の人って、自分のラッパをみんな持ってるの?!」
とびっっくりした私。
「いや、それぞれ町でラッパは持っていて、貸してくれるよ」と家人。
「貸してくれるのに、なんでラッパを売ってるのよ?」
「そりゃー、家でも練習するのにいるんだろ。」
い、家で練習??ラッパを~~?そこまですんのか~~~!
そして、値札を見て、またまた仰天。
「い、いちまんろくせんえん??!!な、何、この値段は??!!マジで?!?高いじゃないの?!?」
すっごく綺麗なラッパです。金色のラッパ、銀色のラッパ、つやつや、ぴかぴかしています。
赤い飾り紐と房もついてます。
ちょっとかっこいいです・・・・。
もちろん、もっと安いラッパもあるんでしょうね・・・。
見ていると確かに、私もMyラッパがあってもいいかもね・・・と、思えないでもありません・・・・。
こんなMyラッパを持ってたら、祭りに出たって、な~んかこう、誇らしいよね。
「楽器とオートバイの街浜松」とは、はるか遠くに住んでいた私なども中学校で教わりましたが、楽器づくりがお祭りにも生かされてるのね~~、などと思ったのでした・・・。
それにしても、やっぱ、た、高いわ・・・・。
GWの過ごし方
このところのなたね梅雨で、浜松は毎日雨か曇りです。
ここ一週間ほどは、太陽を見ていないような気さえします。
しかもちょっと肌寒い・・・。
そんな中で夜の散歩に出かけました。(時々は行っているんです~~なかなか続かないけど・・・)
浜松駅の近くに巨大ビルのアクトシティが建っていますが、その後ろ側に、整備された歩道があります。
街灯もあかあかと灯っていて、とても明るいので、同じく夜の散歩の人とよくすれ違います。
アクトを山にみたてて、(浜松には山がないんですもの・・・)空中庭園まで多少の山登りをして、その後遊歩道を歩くのがいつものパターンです。
その道の途中にある公園から、例の浜松祭りのラッパの音が、夜の町に響き渡ってきました。
「お~お~、やってる、やってる・・・」
近づいてみると、小学生が10人くらいで練習しています。
しかし。
・・・・。
下手です、ものすごく・・・。
高音のパートは比較的まともなのですが、中にひとり、低音パートの子が、完全に音がはずれています。
しかし、それを誰かが注意するでもなく、彼らはえんえんと同じフレーズを練習しています。音のハズレ方も全く一緒です。
「今からこんなじゃ間に合わねーぞ・・・」
と横目で見ながら家人。
きっとこの子は後で猛練習することになるのかも・・・。
「でも、考えてみると、浜松祭りってGWじゃん。浜松の小学生には、GWにどこかに家族旅行をするとかいう選択肢はまったくないのねだって、親も浜松祭り一色だもんね~。それって、なんかすごいね・・・!」
「そんなん浜松に住んでるんだから、あったりまえじゃん。」
・・・。
そうですか。あたりまえですか。
「全国には色んな祭りをGWにやるんだから、浜松だけじゃないんだ。はっきり言って、どこでもやってることなんだ。」
と、浜松の普通っぽさを力説する家人。
どこでも・・・?
・・・。かくして、浜松人のアイデンティティは確立されていくわけね・・・。
トータルコーディネイト
街中の食料品店に行ってきました。
「GWは、街なかの交通規制があるので、ちょっと閉店が早くなるんです」
と、店員さんに営業時間を書いたチラシを貰いました。
お店を開けておいても、祭り中は誰も買いに来ないわけですね。
ここまでは普通の話です。
さらに店員さん、
「おたくは、ご主人は祭りとかされます?」
「いえ、うちはそれほど・・・。」
「それはよかったですね~!祭りやってると、ほんとに大変ですものね。砂だらけの法被を真夜中に洗って乾かさなきゃならないなんてこと、ないんですものね~~!
それがいいですよ~!」
「はい?砂だらけの法被??」
「ほら、凧って、砂だらけになるじゃあありませんか!それで真夜中に帰ってきて、次の日もそれ着なけりゃならないから、洗濯が大変なんですよね。」
たしかに、祭りでは海辺の凧揚げ場で揚げてます。
そこで七転八倒するわけだから、そりゃー砂だらけになるわけですね。
そして、その後「御殿屋台」、「練り」に廻って、祭りの衆が帰ってくるのは真夜中・・・。
それから主婦は砂だらけのシロモノを洗って、干して・・・・。
多分、簡単には乾かないですよね。朝早いし・・・。
乾燥機?乾燥機に入れちゃうの・・・??
むむむ・・・。
「法被とかも10万円とかするし、もう大変で~~!」
「じゅ、じゅうまんですか」
「そうですよ~~!ちょっと型押しとか、刺し子とかすると、すぐそのくらいになるし、あの衆はどれだけお金かけたかが自慢なんですから、トータルで何十万とかが普通だとと思いますよ~~!」
げげ~~~~。
そ、そんなこと、考えたこともありませんでした。
ン10万
「は、法被って、何千円とかじゃないんですか・・・!(ドキドキ)」
と、思わず私、ド素人な質問を・・・。
「今どきそんな値段じゃないですよ~。最低でも1万数千円はしますよ~!でも、祭りをしてなきゃそんな心配ないんですから、いいですね!」
うう~~~ん、浜松祭り、主婦にとってもマジで大変なんだ~~・・・・!!
と、帰ってから家人にその話をしました。
「それはだな。」
と家人。
「それは自慢されたんだな。」
はい?自慢?
「それは、それだけ大変なんだ、ということを自慢しているわけだ。“あの衆”はそれが生き甲斐だから、それは自慢になるわけだ。」
そーだったのか~。
大変だけど、嬉しさ半分なわけだ・・・・。
・・・・。
トータルん10万が・・・?砂だらけの真夜中の洗濯が・・・?ほんとに・・・・?ほんとなの・・・?
この話を身近な祭りマスターの義弟にしてみたら、
「おれのはそんなにかかってないよ~。でも、法被は何枚も作ったから、(何枚も??)それなりにかかってるかな~・・・。」
この義弟も会所開きから祭りの会所に毎日詰め切りの“ほどほどの”祭りマニア。
「じゃあね、トータルん10万の祭り衣装の人とか、沢山いるの?」
「ああ、そりゃーいるね!それ命だもんね」
そーですか・・・。やっぱり、浜松人はそーですか・・・。