富士屋旅館の美味しいお蕎麦|生のわさびが丸ごと出てきた!
富士屋旅館へ
また、水を汲みに奥三河まで行ってきました。
奥三河の道すがらって、色んな不思議なものがあるんです。
今回はそのひとつ、謎のお蕎麦屋さんに入ってみました!
お蕎麦屋さんだけど、看板には「富士屋旅館」と書いてあります。
一応泊まれるというようなことも書いてありますが、泊まる人がいるかどうかは不明です。
画像は、携帯で撮ったので、ちょっと不鮮明なのですが、細い山道沿いに、谷間にひっつくように建っている建物で、なんというか、木の葉と苔に埋もれたようなと申しましょうか・・・。
瓦の屋根にはは一面びっしり苔が生えています。
とにかく、山の北側に建っている建物なので、なんだか、全然日が当たってないんじゃあ・・・・というようなもの凄い雰囲気で・・・・。
通りかかるたびに、なんとなく入り口の向こうに明かりが見えないでもない・・・ような感じ・・。
でもすごく怪しい・・・・。
「ここって、やってるのかな~?」
と家人に尋ねると、
「やってる・・・・と思う。」
との答え。
「じゃあ、入ったことある?」
「いや・・・・。ない・・・・。」
こういう会話が常に行われ、気になりつつもいつも見るだけだったのですが、今回、なんだか道ばたに「蕎麦」と書いたのぼりもいくつかはためいて、ツーリングのお兄さんたちのバイクも2台置いてあったりしたものですから、とうとう、勇気を振り絞って入ってみました!!
入ると、意外と中は広くて、そして謎の民芸品が所狭しと並んでいます。
面白いんですが、食べ物屋さんとは思えない空気が漂っています・・・。
ツーリングのお兄さん達が蕎麦のセットを食べていました。
こわごわ私たちも同じものを頼みました。
店内の様子
これはお蕎麦屋さんの店内。
こういうのが好きな方にはたまらん雰囲気かもしれません。
しかし、よく見てみると、有名なお相撲さんの大鵬と一緒に撮った写真も飾ってあるし、なんだか有名人の色紙も沢山あります。
「これって、意外と有名なお蕎麦屋さんかもしれないよ・・・」
「そうだな~・・・」
しかし、亭主以外店員の姿はなく、お茶もセルフサービスで、卓の上に「こんなに誰が飲むんだろう・・・」と心配になるくらい、湯飲みがうずたかく積まれ、巨大なポットが添えられています。
待つほどに、亭主がそろそろと蕎麦セットを持ってきてくれました。
蕎麦セットとわさびが丸ごと!
出てきた蕎麦セットは、鴨肉のロースト他の先付けが一皿ついてます。デザートは何故かメロン一切れとブドウ二粒という、全体として不思議な組み合わせです。
蕎麦は写真のような菱形の皿・・・というか、ざるに載って出てきました。
こんな変わったざるは見たことがありません。きっと、ご亭主の趣味なんですね。
そして、なんと、まともなわさびが丸ごとです
色々お蕎麦屋さんには行きましたが、生のわさびが丸ごと出てきたのは初めてです
頼まれもしないのに家人が蘊蓄を披露し始めました。
「生のわさびは、つゆに入れたら絶対ダメだぜ。風味がなくなるからな!」
と言って、擂ったわさびを少しずつ蕎麦の上にのせて、おもむろに蕎麦を箸でつまみ、つゆにつけていただきました。
私も、「美味しんぼかい!!」とか思いながらも、特に逆らう理由もないので、家人にならっていただきました。
美味しい
太さなどがちょっと不揃いでしたが、香りがとてもよくて、ほんとに美味しいお蕎麦です。
そういえば、新蕎麦の季節ですもんね~
私も大盛りを頼めばよかったです・・・・。
それにしても、なんというか、お蕎麦の美味しさが、お店の怪しさと反比例しているというか・・・・。
「大将は、大鵬と仲が良いの?」
と家人が聞くと、
「そうです」
とご亭主。
口数少ないです。
美味しくお蕎麦をいただいて、デザートに取りかかりましたが、メロンがよく熟れていて、とっても甘かったのを憶えています。
普通、こういうデザートのメロンって美味しくないんですが・・・。
1000円のセットですから、先付けとかデザートとか、生のわさびなんて、原価割れなんじゃ・・・などと余計な心配をしていると、なんだか次々お客さんがやってくるのです。
それも無口な客ばかり。
やっぱり、お蕎麦が美味しいので、固定客がついているようですね~。
帰り際にご亭主が、残りのわさびをラップに包んで持たせてくれました。
「これ、なんでくれたのかな~。先に出ていったツーリングのお兄さんたちには渡してなかったよね・・・?」
「それはだな、きっとわさびの正しい食べ方をしたからだ!!
兄ちゃんたちは、きっとわさびをつゆに入れたんだ。
あの大将は、俺らを見て、こいつらわかってるな、と思って、俺らにわさびをくれたんだぜ」
と、やけに自慢げ。
ホントにそうなんだろうか・・・。
「そういえば」
と家人。
「あの店の大鵬の写真の隣に、内閣総理大臣の名前が入った優秀賞の賞状があったぜ。総理は佐藤栄作だった。
なんか、会社で優秀な成績を収めましたみたいな内容だった。
あの大将が脱サラする前に貰ったのかな。蕎麦の賞じゃなかったな。」
佐藤栄作といえば、高度成長期。
一体、何で優秀な成績だったのか、非常に気になります!!
今思うと、あのお蕎麦屋さんは沢の側に建っていました。当然水がいいので、ここで蕎麦を打っているんだと思います。
わさびももしかしたら、自分で育ててる・・・・・なんてことはないよね・・・?