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萩尾望都SF原画展を見に、沼津の佐野美術館に行ってきました~!

長年少女漫画界を牽引してこられ、いまだ健筆を振るっておられる
超カリスマ漫画家 萩尾望都(はぎお もと)先生。

この先生の生原稿(!)などの大きな展示が開催され、評判を呼んでいるのは知っていましたが、遠方なので行けないなと残念に思っていたら、なんと静岡県の沼津に来ることになり、超うれしくて早速行って参りました!

■沼津の町をうろうろ

沼津にはほとんど土地勘がないので、とにかくナビ頼りだったのですが、どういうわけか変な道に入り込んでしまい、高速を降りてから佐野美術館までには結構時間がかかってしまいました。

道が細くて通りにくい上に、沼津にとっては長年の宿願であるという線路の高架化がなされていないので、何度も踏切を渡ってしまったりと迷走したあげく、駅周辺の渋滞にはまり込んでしまいました。

でも、沼津の町はとても魅力的で、漁師町としての雰囲気とか、小さな川もさらさら流れているし、三島広小路駅周辺などには、すてきなお店も沢山あって、もう一度ゆっくり訪れてみたいなと思う町です。

そして、結構若い人がいますね!「ラブライブ!」というアニメが流行っていて、その影響で来られる方が多いと聞いていましたが、そういうことなのかな。浜松の町中などよりずっと人がいるように思いました。

ちょっと前には三島を舞台にしたテレビドラマもあったし、富士山のふもとで伊豆半島の付け根で、水は美味しいし、首都圏からも近いこのあたりの町は、魅力的な立地なのかもと思います。

■萩尾望都先生の原画展

さて佐野美術館。

入り口正面に「スターレッド」「百億の昼と千億の夜」の阿修羅、「マージナル」と、萩尾先生の代表作と目されるパネルが並び、しっかり写真撮影ができるようになっております!

阿修羅の背後と前にある炎が燃え上がって揺らめくようなセットが作ってあって、とても綺麗で迫力があります。やっぱなんたって阿修羅よね~などと撮影しながら、だんだんテンションも上がってきます!

来られている方は、4~50代の女性が多かったでしょうか。でも、若い男性やカップルなども沢山おられました。

パネルの前には、50代くらいの女性と、お嬢さんのお二人で仲良く写真を撮影されたりと、大変賑わっておりました。

リアルタイムの萩尾先生のファンは、まあ大体は50代くらいなのでしょうね~。親娘ではまっておられるのも微笑ましいです。

もちろん私もしっかり記念撮影いたしました。

展示がある2階は撮影禁止なので、入り口のこの美麗パネルはとってもありがたいです。

さて2階に移動する際、廊下に展示してあった原画が複製画でしたので、「まさか全部複製なんじゃないでしょうね!!」とひやっとしましたが、大丈夫、室内にはしっかり生の原稿が沢山展示されていました。

皆さんかぶりつくように見ています。

彼氏に説明してあげてる親切な若い女性もいました。私は主人をほったらかしにして見ておりました。

もうもう、カラーも白黒原稿も惜しげもなく展示されています!

もちろん触ってはいけませんが、額に入っていて結構顔を近づけられるので、どういう画面の処理をされているのかもわかって、本当に興味深かったです。

萩尾ファンの方ならよくご存じかと思いますが、萩尾望都先生の絵の魅力はまず線の美麗さ、軽やかさかなあと思います。エアリーなんですよね~。空気感をまとってて。

キャラクターの顔が好きとか、デッサンが完璧とかはもはや当然のこととして、本当に線が細くて、でも太いところは太くてしっかり。メリハリがあるのです。

初期の傑作「精霊狩り」なども、本当に線が綺麗。

そして、スクリーントーンなどもあまり使われません。ベタの使い方、線の使い方、うっとりするような画面構成です。

最近のものはまた違いますが、この背景、トーンじゃなくて手ですか?!みたいなことも結構あるんですよ。

先生ご自身も神ですが、お仕事場にも神アシ(神のようなアシスタント)さんたちが沢山おられるのでしょうね、背景の線の美麗さも半端ないです。

■萩尾望都先生のプロット

そして、漫画の心臓部であるプロット。

展示では、「11人いる!」のプロットが公開されていました。

初めて見る萩尾先生のプロット!!!
がーっとテンションが上がります!!

本当はもっと沢山プロット見てみたかったのですが、まあ、これだけでも十分に嬉しいです。

写真が撮れないのが本当にくやしい!!

便せんのような紙に横書きで二枚。先生の文字でびっしり書いてあります。これを当時の編集さんに見せたのでしょう。

宇宙船でテストが開始されるところから、衝撃のラストまでの登場人物の感情の動きが逐一書かれていました。

非常に明解で論理的。短い文章で端的な表現ですが、登場人物の動きと性格付けまでしっかりわかります。プロットってこういう風に書くのか・・・と、目から鱗がぼろぼろと。

逆に言うと、ここまでわかりやすくなっていないと、群像劇なんか書けないのかもしれません。

萩尾先生の絵も魅力的ですが、キャラクターの性格付けの魅力は他と比べられません。非常にわかりやすい。感情が伝わる。迫ってくる。

何が魅力って、なんなんでしょうね、もう、なんだかとにかく凄いんですよ。

■萩尾先生のネーム!!!

そして、目玉の「百億の昼と千億の夜」。

原稿美しい~~~~。

阿修羅カッコいい~~~~~!!

それとともに、ネームも公開してありました。

ネームは漫画の設計図。プロットを元に台詞を入れながら漫画のコマ割りを作ります。これができると後は絵にするだけなので、結構完成に近いものです。

びっくりしたんですが、萩尾先生のネームには殆どというか、全く絵が入っていません!!

漫画家さんによってネームの作り方は全然違うと言われますが、ネームに絵をびっちり入れて、それを原稿にする時トレースするという方もおられます。ネームの方が表情がよく描けているというお話も聞きます。

しかし、萩尾先生、絵なし??

あの複雑なストーリーと構成で、絵なし??!

そ、そんな・・・・。

もう、台詞だけで、絵も構図もキャラもばっちり頭に入っていて、正確に再現できるのでしょうね・・・・。すごすぎます・・・。

でも、私も「百億」は何度も読んでいるので、ネームだけで絵が思い浮かびます。
なんだかまた「百億」を読んでみたくなりましたよ~。

今は手元にないので、豪華本を買ってしまおうかな。単行本より画面が大きいから、それも悪くないよね・・・・などと思いつつ、先に進みます。

「スターレッド」もとても素敵。

でも、「スターレッド」のラストは、なんというか、ちょっと悲しいんですよね~。きっとまた巡り会うのよね~と思いつつも、悲しかった~・・・。

自分は萩尾先生の漫画とともに成長してきたなあ、とつくづく感じながら展示を見ました。

そして、殆どの方が見たことがないような「ピアリス」という物語も公開されていて、いやもう、しっかり満足の素晴らしい原画展でした!!

それでもね、これは萩尾望都先生のSFに限った作品群ですから、一番メインと目される「ポーの一族」とか、「トーマの心臓」とか、「残酷な神が支配する」とかはないんですよ。信じられない!

でも、正直それがあったら、一日で見られない。
もっと人が群がってすごいことになるのでは・・・・と思いました~。

1階に降りると、ミュージアムショップがあります。

とても可愛いふきんとか、お財布とか、この美術館のグッズもありますが、萩尾先生のキャラグッズもしっかりあります。

「ピアリス」や「百億」のTシャツとか、クリアファイルとか、欲しいものが沢山ありましたが、ぐっと我慢して、いつも美術館に行くと購入する図録だけ買いました。

いつも思うんですが、図録ってあれだけ画像が入っていて、しかもカラーなのに、結構安いんですよね。お得です~。

さて、「ポーの一族」は現在連載が再開されて、むろん単行本も買いましたが、とても良かったです。未読の方にはおすすめです。長年のエドガーファンの方には、怖くて買えないような方もおられるかもしれませんが、ほぼ心配ないと思います!

私たちが年取った分、見聞も広まって、そういう読者もしっかり納得の深い作品になっていて、今も現役の萩尾先生の凄いところだなあと感じ入っております。

「ポーの一族」は宝塚の舞台にもなっていて、絶賛されているそうで、これも見ることができたらいいなあと思いつつ、満足して佐野美術館を後にしました。

佐野美術館は、来年の1月からは「上杉家の名刀と三十五腰」の展示だそうです。普段は刀剣などの展示も多い美術館なのでしょうか。刀剣女子なる方々が群がりそうな展示ですよね~。

本当に楽しかったです。
ありがとうございました。


2 Comments »

  • はじめまして 佐野美術館の詳しく、参考になりました。特に絵まで遠いのは、私も佐野美術館には不満な点です。改装してからライトも作品ごとではなく 壁に固定でガラスが反射してしまい 別の作品展で大作の半分が色彩が見辛く残念でした。昔は小さいライトを大作だと四方から照らして角度調整がしてあり良かったのですが。私だけ感じたのではなくてほっとしました。電気屋さんの配線だいとか展示会の度に経費を抑えるためかな…
    とにもかくにも萩尾望都先生の作品展は、危うく見過ごすところでした。行ってきます。

  • >三島住みさま

    はじめまして。

    コメントありがとうございます!三島にお住まいなのですか!!すっごくいいところですよね、お水も綺麗で~~!

    浜松からではちょっと遠くて、なかなか行けないのですが、一度はゆっくり訪れてみたいいいところだなあ~って思いました!

    今回は、美術館しか行けなかったので・・・。

    確かに、佐野美術館、入り口から絵までちょっと遠かったですね。なので、私も廊下の展示をここから始まりかと勘違いしたみたいです。

    美術館側も、それがわかっているので、途中に少し展示してあったのかもしれませんね。

    三島といえば、少し前に宮藤官九郎脚本のドラマで舞台になっていて、話も面白かったけど、ロケがとても素敵だなあと思っていました!

    浜松も良いところですが、水の綺麗な三島はあこがれの土地ですよ~。

    萩尾先生の展示、楽しまれたでしょうか。

    ありがとうございました。m(_ _)m

    東風佳代子


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