お金がない母子家庭は支援制度や金融機関で資金の貸し付けを!
離婚されたり死に別れてしまったことで母子家庭や父子家庭となってしまったご家庭では、両親が揃っている一般の家庭と比べるといろいろなご苦労があることでしょう。
政府が調べたところによりますと、平均的な母子家庭の年間収入は200万円よりも低く、このことが社会の大きな課題となっていることがわかります。
母子や父子といったひとり親の家庭が、一般の家庭と同じように暮らせる環境を提供しようと、国や地方自治体、企業や民間の組織などが、いろいろな取り組みをしています。
困難を背負われている母子家庭に対して、さまざまなかたちで社会が支えてくれていることにまずは感謝の気持ちを持つことが大切ですね。
そのうえで、それらの制度などを利用することで、親子ともに健康で生き生きとした生活ができるようになれば、それこそが社会に対する恩返しになりますね。
今回は、ひとり親の家庭である母子家庭や父子家庭のために設けられている制度などについてご説明いたします。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
各自治体の福祉担当が窓口になって厚生労働省が実施している貸付金制度です。
ひとり親世帯(母子家庭・父子家庭・寡婦など)を対象に、生活が自立するための資金や、子供の教育資金を貸し出しています。
この制度には、資金の利用目的に応じて、以下のさまざまな内容が定められています。
– 事業開始資金
– 事業継続資金
– 修学資金
– 技能習得資金
– 修業資金
– 就職支度資金
– 医療介護資金
– 生活資金
– 住宅資金
– 転宅資金
– 就学支度資金
– 結婚資金
これらの資金の種類ごとに、対象者、限度額、利子の有無、償還期間などが定められています。
寡婦(寡夫)控除、国民健康保険や国民年金制度での控除など
配偶者と死別あるいは離婚したまま再婚しない男女のことを、寡婦あるいは寡夫と言いますが、これらの方々のうち条件が満たされた方には、税制上の優遇措置として、所得の控除が認められています。
また、国民健康保険や国民年金においても寡婦は、優遇されたり免除される場合があります。これらについても、各市町村の福祉担当に相談ができます。
その他の給付金や優遇措置など
上記以外にも、いくつもの給付金、減免や割引などの制度があります。
これらは市町村によって特色があったり違いがあります。
お住まいの自治体で具体的にどういう制度があるのか、自分が当てはまるのか、尋ねてみると良いでしょう。
– 児童手当
– 児童扶養手当
– 母子家庭の住宅手当
– 母子家庭(ひとり親家庭)の医療費助成制度
– こども医療費助成
– 特別児童扶養手当
– 障害児福祉手当
– 生活保護
– 母子家庭の遺族年金
– 児童育成手当
– 電車やバスの割引制度
– 粗大ゴミの手数料の減免
– 上下水道料金の割引
– 保育料の免除や減額
…など
母子家庭等自立支援給付金
母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について |厚生労働省
ひとり親家庭(母子家庭や父子家庭)が経済的に自立できることを目的に、厚生労働省が自治体と協力して実施している制度です。
母子家庭の母親および父子家庭の父親が就職するために教育訓練を受けようとする際に、それまで雇用保険に入っていなかったり期間が短くて教育訓練給付を受給できない場合、経費の一部を負担してくれるものです。
対象となる教育訓練の受講を終了した際に、かかった経費の60%(ただし上限20万円)を支給してくれます。
各種奨学金
子供が中学校を卒業して義務教育を終えると、高校、さらに大学や短大などに進学して教育費が多く掛かるようになります。
子育てで最もお金が必要になる時期です。この時期に家計を助けてくれるのが奨学金の制度です。
政府の教育改革のひとつとして、2017(平成29)年度から無利子で借りることができる対象者が広がり、返済不要の給付型奨学金も実施されるようになりました。
・日本学生支援機構 (JASSO)
国の独立行政法人で、大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)の学生を対象とした奨学金の貸与、留学支援や留学生の受入支援などをおこなっています。
貸与奨学金には無利息で貸与する第一種と、利息付の第二種があり、世帯の年収や学生本人の成績基準が、審査の条件になります。
また連帯保証人と保証人が必要となります。連帯保証人とは、利用者本人と同じ返済の義務を負うことになり、原則として保護者である父母がなります。
保証人は、本人や連帯保証人が貸与された奨学金と利息を返還できなくなった場合に返済を担うことになります。
ここで連帯保証人や保証人を用意できない場合のために、保証機関が用意されています。
これを利用した場合は、毎月の貸与金額から一定額が保証料として差し引かれることになります。
2017(平成29)年度より制度が一部変更になり、住民税が非課税となっている世帯の生徒については、生徒の学力の程度に関わりなく、希望者の全員が貸与を受けることができるようになりました。
また同じく2017年度より、返済不要の給付型奨学金制度が実施されるようになりました。
・社会福祉協議会
地域福祉の推進を図ることを目的として、都道府県、政令指定都市、市町村の行政区分ごとに組織されている行政の関連団体です。
民間団体ですが、予算が自治体から出ていたり、会長や職員が行政とのつながりが深いといったこと性格があります。
活動のひとつとして、所得の低い世帯などを対象に、就学のために必要な費用を「生活福祉資金」として無利子で貸し出すことをしています。
・民間による貸与型奨学金・給付型奨学金
国だけでなく、さまざまな民間団体や企業が奨学金の制度を実施しています。内容や条件もそれぞれに特色があります。
例)
– 日本教育公務員弘済会
– 味の素奨学会
– 日本通運育英会
– 吉原育英会
– 東京弁護士会育英財団
– 全国商業高等学校協会
– 日本財団
– 日鉄鉱業奨学会
– 東ソー奨学会
– 山口育英奨学会
– 樫の芽会
– 小貫基金
– 渋谷育英会
– いっしん育英会
– あしなが育英会
– 交通遺児育英会
– JID財団
– 毎日育英会
…など
養育費について
2006(平成18)年に政府が行った養育費の支払いについての調査によると
– 現在も受けている19.0%
– 過去に受けたことがある16.0%
– 受けたことがない59.1%
とのことです。
離婚した後であっても、親権を持たなかった配偶者にも未成年の子供に対しては養育をする義務があります。
民法には「養育費の支払い義務がなくなることはない」ことが定められています。
収入がないとか負債があるからという理由だけで、養育費の支払いを拒むことは認められていません。
離婚して子供を引き取って養う場合は、元の配偶者に養育費の支払いを求めることができます。
子供の養育費を払うことは、親のやるべき義務ではないでしょうか。
銀行やその他の金融機関の利用
これまでご紹介したように、ひとり親で子供を育てている母子家庭や父子家庭には、さまざまな手厚い支援の仕組みが用意されています。
ひとりで悩まないで、まずは自治体の窓口に相談してください。
担当職員さんのほか民生委員や児童委員といった方々が適切なアドバイスをしてくれることと思います。
とは言っても、こうしたサポートを受けたとしても、急な事情でどうしてもお金が必要になることもあると思います。
その場合には、銀行や信用金庫、消費者向けのローン金融業者を利用するという方法もあります。
都市や地方の銀行、信用金庫では、自動車や教育などの目的別ローンのほか、使い道が決められていないフリーローンもあります。
教育ローンでしたら実質年率2~5%のところもあり、消費者金融会社よりもかなり安いです。
消費者向け金融会社は、銀行の審査が難しい方でも通る可能性がありますし、申し込みしてからその日のうち現金を融資できることをセールスポイントにしているところもあります。
2006(平成18)年の貸金業法の改正により、金利の上限が20%に引き下げられたこともあり、大手では利用者が安心して借りられる仕組みが整ったほか、初回利用のときに無利息のサービス期間を用意したり、女性専用のオペレーターサービスを用意しているところもあります。
銀行系では担保や保証人を求められることの多いですが、消費者系では不要な場合が多いです。
もちろん、プライバシーもしっかりと守ってくれます。
むずかしい事情を抱えておられる方も多いとお察ししますが、この記事が何か少しでもお役に立てれば幸いです。